18 ：1-13：2008/08/14(木) 22:14:09.03 ID:4mNAIQgQ0
＿＿＿_ 魯国に住む遊び人、やる夫、字が子路という男、
+ + ／⌒ ⌒＼+ 。 近頃賢者の噂も高い学匠・長門 孔丘の噂を聞いた。
・ ｡／（ ●） （●）＼ + +
／::::::⌒（__人__）⌒::: ＼
| |r┬-| |
+＼ `ー‐′ ／・ ﾟ. + ＿_
／ | / ・ /ヽ
（＿⌒) ・ ・ |｜＿＿＿＿___＿___＿ |ま |￣|
ｌ⌒ヽ ＿ﾉ | |＼ |___| {}@{}@{}−| る| |
| r `(;;U;) ）__) ＼ >ﾟ))))彡ー―'. |＿.|＿|
（＿ノ ￣ ／ ／ ＼`ー―’＿＿＿
（＿_^) | |￣￣￣￣￣￣￣￣￣
|_|
19 ：1-13：2008/08/14(木) 22:18:09.07 ID:4mNAIQgQ0
＿＿＿_
／⌒ ⌒＼ ﾎｼﾞﾎｼﾞ けっ、どうせ嘘つき賢者だお。
／（ ●） （●）＼
／::::::⌒（__人__）⌒::::: ＼
| ｍj |ー'´ |
＼ 〈＿_ﾉ ／
ノ ﾉ
／⌒ ⌒＼ このやる夫様が
／（ ＞） （＜）＼ 論破して恥をかかしてやるお
／::::::⌒（__人__）⌒::::: ＼
| /| | | | | |
＼ (、`ー―'´, ／
と思い立ち孔丘の家へと向かった。
20 ：1-15：2008/08/14(木) 22:22:10.06 ID:4mNAIQgQ0
,-'"ヽ
/ i､ /ﾆＹﾆヽ ＿/＼／＼/＼／|＿
{ ﾉ "' ゝ /（ ﾟ )( ﾟ ）ヽ ＼ ／
／ "' ゝ ／::::⌒｀´⌒::::＼ ＜ ピカチュー！！＞
/ i ,-）＿＿＿（-，| ／ ＼
i ､ |-┬-| / ￣|／＼/＼/＼/￣
/ `ー'´ /.
i' /､ ,i..
い _／ `-､.,, ､_ i
/' / _/ ＼`i " /ﾞ ./
(,,／ , ' _,,-'" i ヾi__,,,...--t'" ,|
,/ ／ ＼ ヽ､ i |
(､,,/ 〉､ ､,} | .i
`` ` ! ､､＼
!､_n_,〉>
動物を連れてゆき、勉強の邪魔をさせようと、
けたたましい動物の叫び声とともに、
22 ：1-16：2008/08/14(木) 22:26:14.13 ID:4mNAIQgQ0
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
| /| ｶﾞﾁｬ
| /⌒i / |
|-/`-イ────────-ｲ | やる夫は家へ飛び込んだ。
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ へへへ、お邪魔するお。
|__/⌒i_＿＿＿＿＿＿＿＿＿／|
| '`-イ .／⌒ 三⌒＼ |
| ヽ ノ ／（ ●）三（●）＼ |
| ,| ／::::::⌒（__人__）⌒::::: ＼ |
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
+ + ☆ｶﾞﾁｬ
__ ／
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ (（ i´| |｀i ）) ＋
|＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__／| /⌒i|__|i⌒i､
| / | | | く ﾝ 冫 +
|. | ＼ ＼ .| ＿＿＿＿／ ￣ ／）
￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ＼ ￣ | ）／）γヽ +
＼ |＿＿__ ）／￣__ﾉ
￣￣￣￣￣￣ ￣ ￣ ￣
23 ：1-17：2008/08/14(木) 22:29:58.05 ID:4mNAIQgQ0
|┃ ＿＿＿_
|┃／⌒ ⌒＼ ｶﾞﾗｯ
|┃（●） （●） ＼
――‐.|┃:⌒（__人__）⌒:::::＼
|┃ |r┬-| |⌒)
|┃ `ー'ｫ ／/
（⌒ヽ・ ・￣ ／
|┃ノ /
|┃ つ <
|┃ (::)(::) ヽ
|┃／ > ）
|┃ ＿＿＿_ ｼｬｧｧｧｧｧｧｧｧ
|┃／⌒ ⌒＼
|┃ （―） （―）＼
――‐.|┃:⌒（__人__）⌒:::::＼
|┃ |
|┃ ／
|┃ヽ・ ・￣ ／
|┃ ＼ ,.:∴~・:,゜・~・:,゜・ ,
|┃ヽ＿）つ‘∴・゜゜・・∴~・:,゜・・∴
|┃ (::)(::) ヽ ・゜゜・∴~゜
|┃／ > ） ゜゜・∴:,゜・~
24 ：1-18：2008/08/14(木) 22:33:22.17 ID:4mNAIQgQ0
／.:.:. ＼
/:,:.:.: ／ ヽ ＼ ……結構なあいさつね。
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ｰ
/!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ﾊ
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/| l ｌ }
N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/ ﾚ ｨ=ﾄ | /| ∧j
ヽﾑ:.} ii;_j ii;ﾘ ﾙ iﾚヽ
`ﾍ:ゝ _ 小/
ヾ:{＞､ _ ｨ＜}/|/
_, ｨr'´ヽ｛ __＿`} ヽ､_
／| l:| | =＝=| |:lﾞヽ
/ | l:ｌ l l l::ｌ l
l ヽﾊ l l // |
＿＿＿_
／ ノ（ ＼ おう、あんたが噂の長門って
／ _ノ ヽ､_ ＼ 奴かお。やる夫と門答をするお。
／ ノ（ ●━━● ＼
| ⌒ （__人__） ノ（ |
＼ ｀ ⌒´ ⌒／
25 ：1-19：2008/08/14(木) 22:37:30.57 ID:4mNAIQgQ0
/ ヽ ＼ ＼
,' / / l ＼ ヽ そう……
! / / / ,' | l ﾊ ﾍ､ヽ､_,
. | ! l ｌ / / ,ｲ ! i ! l ヽ ',｀￣
. l | l ｌ ,/ 〃 ,/ /│ l j l│ ! l
ノ | ! │ | /_／/ ／/ / ,' ∧ / | / j ｌ│
ﾉ l ｧ| |尢/‐=乞t/ ／ /∠ﾆ｢厂! / ,/ / ﾘ
ｲ 八{´ｌ !ﾚ 'ヽ ＿〃 勹 ｲ } /
. Vﾊ |{ f} ⌒{! /}, '/／
ヽ ', | ` ー―‐‐ ' ､ `ー-- ﾁ' /
`ﾍ lヽ _ 厶 ./
', {.代ﾄ､ , イ | /
＼_'i| ＞ ､ _ , イ/ V ｌ./
／ ヽj {｀ヽ ′
. _ ／ ｢´ ヽ} ＼
「じゃあ、聞くけどあなたはなにが好き？」
(ヽ三/) ））
＿＿ ( i)))
／⌒ ⌒＼ ＼ 「やる夫？やる夫は、剣を好むお」
／（ ●） （●）＼ ）
.／:::::: ⌒（__人__）⌒::::＼
| (⌒)|r┬-| |
,┌､-､!.~〈`ー´/ ＿/
| | | | __ヽ、 /
ﾚレ'､ﾉ‐´ ￣〉 |
26 ：1-20：2008/08/14(木) 22:41:20.78 ID:4mNAIQgQ0
_／ ＼
ｰ=ﾆ ｧ ／ /, / ､ ｀ヽ. ＼ 「学問はどう思う？」
/ , 〃 / /' │ :lヽ ﾊ ＼
/ / // / / │ :| ! i| l ヽ
/ ｲ l | │ j ∧ l |＼ ｉ| │ ＼
l/ | | ｌ ∧ ﾊ l '. ﾊ j ヽ ｉ| │ }￣
││ ｌ|│ﾅ下/-ヽ | ヾ /_ﾑ'― 弋| │ ! j
j. │ |i V ,ｨテ圷､ヽ ∨ ｨチ示k l: ﾄ W
ヽ | ﾊ` Vf:::::i} Vf:::::i} Y| ﾑ N
ヽ |ﾍ i l ゝー' `ー'' ﾊ! ,) }i|
｀l ヽﾑ ' /:/ ﾙｲN
', |ﾍ､ ‐ ｨ' / / ｉl
ヽ ｌヽ ＞,､ イ/７ /
＼! Ｖ厶|＞ｰ ＜ﾚ_'/ /／
>'´/ノ L､ヽ
j-' | ___＿ | ＼
ノ¨´ |´ ＿｀ｰ<| ＼
／⌒ ⌒＼ （その問い、待ってたお）
／（ ＞） （＜）＼ 「学問なんかは何の役に立つんだお？、
／::::::⌒（__人__）⌒::::: ＼ やる必要なんてないお。」
| /| | | | | |
＼ (、`ー―'´, ／
27 ：1-21：2008/08/14(木) 22:46:08.20 ID:4mNAIQgQ0
,..-.:.￣.:..:..:.. : : : : ｀丶、 「……やる夫。例えば王様の下に諫臣が
／:..:..:. ..: : : : : : : : : : : : :＼ いなかったらどうなる？正義を失うわ。
/:ﾍ=､､:.＿: : : : ＿＿:ヽ:_: -^,.ﾄ､ それと同じに人には教えあう友がいないと、
ノ:..:..:./:.. ￣: :７´:―― : :|‐: :´､: ヽヽ理解力がなくなってしまう。」
ｰ-/:..:.i:../:. : : ,/:..:.:ｲ:.ﾊ:.. : j:.. :}:.､ヽ:. ﾄヽ
!:..:..:|:.{/:..ィ_jz≦ﾉ ' }:.／_}_ｲ:. } |:.｜|| 「樹も縄を受けて始めて直になる
Vl:.:.|:. Vl´｢＿ ､｀ ﾉ′ ＿ﾉ:ｿ:ｲ: ﾘ ﾉ ものよ。｣
. }:ハ: : l f7｢::｀ﾊ /:::7}7ｲ:/}/
ﾉﾍｰl､: :!VZﾂ ﾋ:ﾉ/:.//
｀ｨﾍ:ﾄ､ _ _ ノ:ｲ/
rく､＼｀ ヽ二コ:千:|K、′
|:..:ヽヽ＼: :Yﾆ|: :!:/j!:.l
ﾄ:..:..:.＼ヽ＼!r|┴＝ミ!r ァ７
＿＿
／ ＼
／ノ ＼ u. ＼ ！ えっ、ちょっと
／ （●） （●） ＼
| （__人__） u. |
＼ u.｀ ⌒´ ／
ノ ＼
／´ ヽ
28 ：1-22：2008/08/14(木) 22:50:14.96 ID:4mNAIQgQ0
_／ ＼
ｰ=ﾆ ｧ ／ /, / ､ ｀ヽ. ＼ 「馬には鞭が、弓に弓を矯めなお
/ , 〃 / /' │ :lヽ ﾊ ＼ す道具が必要なように、人にも、
/ / // / / │ :| ! i| l ヽ その放恣な性情を正す教学が、
/ ｲ l | │ j ∧ l |＼ ｉ| │ ＼ どうして必要ないの？」
l/ | | ｌ ∧ ﾊ l '. ﾊ j ヽ ｉ| │ }￣
││ ｌ|│ﾅ下/-ヽ | ヾ /_ﾑ'― 弋| │ ! j
j. │ |i V ,ｨテ圷､ヽ ∨ ｨチ示k l: ﾄ W
ヽ | ﾊ` Vf:::::i} Vf:::::i} Y| ﾑ N 「
ヽ |ﾍ i l ゝー' `ー'' ﾊ! ,) }i|
｀l ヽﾑ ' /:/ ﾙｲN
', |ﾍ､ ‐ ｨ' / / ｉl
ヽ ｌヽ ＞,､ イ/７ /
＼! Ｖ厶|＞ｰ ＜ﾚ_'/ /／
＿＿＿_
／ ＼！？？
／ u ノ ＼ えっ、ままって、
／ u （●） ＼
| （__人__）|
＼ u .｀ ⌒／
ノ ＼
／´ ヽ
29 ：1-23：2008/08/14(木) 22:54:46.39 ID:4mNAIQgQ0
／.:.:. ＼
/:,:.:.: ／ ヽ ＼ 「匡し理め磨いて、
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ｰ 始めてものは有用なものになる。」
/!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ﾊ
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/| l ｌ }
N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/ ﾚ ｨ=ﾄ | /| ∧j
ヽﾑ:.} ii;_j ii;ﾘ ﾙ iﾚヽ
`ﾍ:ゝ _ 小/
ヾ:{＞､ _ ｨ＜}/|/
_, ｨr'´ヽ｛ __＿`} ヽ､_
／| l:| | =＝=| |:lﾞヽ
/ | l:ｌ l l l::ｌ l
l ヽﾊ l l // |
31 ：1-24：2008/08/14(木) 22:59:19.29 ID:4mNAIQgQ0
／u ￣＼ ｽｯ
／ ─ ─ i⌒i うう、しっしかし
／ <＞> <＜.| 〈ヾ
| u （__人__) / .フ |
＼ ｀ ⌒ / |／
／ u /. ﾉ
/ /＼ / u |
＿|￣￣ ＼ /. ﾉ＿_
＼￣￣￣￣￣￣ ＼
||＼ ＼
||＼||￣￣￣￣￣￣￣|| ￣
|| ||￣￣￣￣￣￣￣||
.|| |
.／￣￣￣＼
／ ::＼:::／:::: ＼ 「南山の竹は何もせずとも真直ぐで、
／ <●>::::::<●> |ヾ 斬ってこれを使うと、犀の皮をも貫くお」
| （__人__） || |
＼ ｀ ⌒´ |||´
／ |||| バチーン!!
/ /＼ /￣＼ |||| .' ， ．.
＿|￣￣ ＼ / ヽ ＼从/／ ・;`.∴ '
＼￣￣￣￣￣￣ ＼＿_） ＜ ,：;・,‘
||＼ ＼ . ’ .' ， ．.
||＼||￣￣￣￣￣￣￣||￣
|| ||￣￣￣￣￣￣￣||
.|| ||
32 ：1-25：2008/08/14(木) 23:04:28.33 ID:4mNAIQgQ0
(ヽ三/) ））
＿＿ ( i)))
／⌒ ⌒＼ ＼ 「だから、生まれてきたときから
／（ ●） （●）＼ ） 優れている者には、学問なんて
.／:::::: ⌒（__人__）⌒::::＼ 必要ないお。」
| (⌒)|r┬-| | （やる夫のように）
,┌､-､!.~〈`ー´/ ＿/
| | | | __ヽ、 /
ﾚレ'､ﾉ‐´ ￣〉 |
33 ：1-26：2008/08/14(木) 23:09:29.31 ID:4mNAIQgQ0
,.r:':.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::｀丶､
／:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ、 （ふふ、強情ね）
/:.:.:.:/:.:.:.:,r:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ト:.:.:.:.:.＼
/:.:.:.:.!:.:.:./:.:/:.:.:.:./:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.:!:.ヽ:.ヽ:.:.;ヽ 「やる夫、あなたの言う、その南山の
/:.:.:.:.:l:.:.:/:./l:.:／/:,:イ:.:/l:.:.:.:ハ:.jl:.:.:i:.:l:.､ヽ 竹に矢の羽をつけ、やじりをつけて
/:.:.:.:.:.:l:.:.:l:/:.ﾚ＿/'´/シ !:.ﾂ′.V ';.:.l.:.!:.:l:.:', これを磨いたら、犀の革を通すだけ
/:.ィ:.:.:.:.:i:.:.:':.:.:.:!＿_｀｀`¬ ' ´ , --l:.､/:/:l:.:l 以上のものができるじゃない。」
´ l;';.:.:.:.',:.:.:.:.<7:::::::｀ヽ ＿ レ/:':ノ!/
';l:.:f ';.:.:.:.:.l::::::::r'′ r'::::::lヽ// '´/'
Vヽ ',:.:.:.:lー- ' l::::::ﾒ /:;'!
ヾl､',:.:.:.! ｀ ´ /::/
';ﾊ:.:ト,、 ワ ノ;.:.;'
>:〈/丶､ _ -v' ´V l:,'
／ ヾ、 _ヽヽ､ l;'
イヽ ヽ'´ ｀', ｀l:ヽ、
34 ：1-27：2008/08/14(木) 23:14:03.45 ID:4mNAIQgQ0
＿＿＿ やる夫は返す言葉に窮した。
／ u ＼ 暫らく孔子の前に突っ立った何か
／ u u ＼ 考えている様子だったが、
／ u u u ＼
| u u u u |
＼ u u u ／
ヽu u＿_ ,／
/ u u ＼
| i u u i |
| | u |. |
| |u u u |. |
36 ：1-28：2008/08/14(木) 23:19:13.12 ID:4mNAIQgQ0
,-'"ヽ
/ i､ /ﾆＹﾆヽ ＿/＼／＼/＼／|＿
{ ﾉ "' ゝ /（ ﾟ )( ﾟ ）ヽ ＼ ／
／ "' ゝ ／::::⌒｀´⌒::::＼ ＜ ピカチュー！！＞
/ i ,-）＿＿＿（-，| ／ ＼
i ､ |-┬-| / ￣|／＼/＼/＼/￣
急に動物を放り出し、|
| | | |
／ ⌒｀"⌒｀ヽ、 | | | |
／,, ／￣￣￣￣＼ | | | |
/,／/:: ＼ | | | |
;/⌒'":::.. |⌒ヽ | , | | |
/ /､:::::... /ヽ_ ＼ |ﾉ ､| .| ､|
_＿（ ⌒ー-ｨ⌒ヽ、 /⌒`ー'⌒ ） ﾉ_＿＿__,ゝｿ_＿＿ゝ
━━━`ー──ゝィｿﾉー‐ヾy＿ﾉー─" _ノﾞ￣⌒＾⌒} .{ ⌒＾⌒}
'ﾆ＝==⊂⊃=｝ {=⊂⊃=｝
「学問を教えて欲しいお。」と降参した。
己と余りにも隔絶した相手の大きさに圧倒された。
即日、やる夫は師弟の礼をを執って門に入った。
37 ：1-28：2008/08/14(木) 23:24:05.15 ID:4mNAIQgQ0
＿＿＿_ しっかし、やる夫、こんな人間見たことないお。
／ ＼
／ ─ ─ ＼
／ （●） （●） ＼
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ,／
r､ r､／ ヘ
ヽヾ 三 |:l1 ヽ
＼>ヽ/ |｀ ｝ | |
ﾍ lノ `'ｿ | |
/´ / |. |
＼. ｨ | |
| | |
・
39 ：1-29：2008/08/14(木) 23:28:15.98 ID:4mNAIQgQ0
にヽ
__ ＼＼ やる夫は
_ 〈::::ヽ__ﾉ } 364キロのヒグマを投げる男を
┌┘L＿＿_,ゝ'´ 〈 見たことあるお。
｀¨` ー―- 、 ｜
ヽ. |
〉 "´ ヽ
{. |
＼. |
〉 |ヽ
/ 丿｜
/ ／｜｜
く 〈 | L__
＼_> `ｰ‐┘
/⌒⌒⌒⌒⌒⌒ )) |
（ 从 ノ.ノ |世界中を敵に回してもまだ
( .／ ￣￣￣￣＼ | 皇帝に君臨している男も知ってるお。
|:::::: ヽ 丶. |
|::::._＿＿＿､_ _,＿_) ∠
（∂:￣￣| ・ー |=|・ー |
（ （ ￣ )・・(￣ i
ヘ＼ .._. )3( .._丿
／ ＼ヽ ＿二__ノ|＼
/⌒ヽ. ＼__／＼i／＼_|
| ヽ ＼o ＼
| | ＼o ＼
41 ：1-30：2008/08/14(木) 23:34:08.33 ID:4mNAIQgQ0
＿＿＿ けど、長門たんはそういった怪物めいた
／ ＼ ものが無いんだお。
／ ＼ ,＿＼ 全ての能力がバランスよく優秀なんだお。
／ （●）゛ （●） ＼ それはいわば、最も常識的な完成に過ぎないんだお。
| ∪ （__人__） |
/ ∩ノ ⊃ ／ おまけに、少しも道学者臭くないのにも驚くお。
( ＼ ／ ＿ノ | |
.＼ “ ／＿＿| |
＼ ／＿＿＿ ／
＿＿＿_
／ ＼_ おまけに、やる夫が得意とする武芸が
／ ／ ＼（ ;:;:;） やる夫より、はるかに強いんだお。
／（ ;:;:;:;:;ﾉ （＝） ＼ なにこの完璧超人。
（;:;:;:;;;:; （__人__） .:::::）アンダーグランドな知識も持ってるし
／ || ｀ ⌒||| ,／ もしかして、元そっち系のだったのか
/ / |＼／ / /ｌ | ￣ お？
/ /__| ＼/ / | |.
43 ：1-31：2008/08/14(木) 23:40:10.83 ID:4mNAIQgQ0
＿＿＿_ それに高潔な理想まで持っているなんて。
／ ＼_ 世俗的な価値観からも、倫理的な価値観
／ ／ ＼（ ;:;:;） から見ても、この人は
／（ ;:;:;:;:;ﾉ （＝） ＼ どこにいっても大丈夫な人だお。
（;:;:;:;;;:; （__人__） .:::::）
／ || ｀ ⌒||| ,／
/ / |＼／ / /ｌ | ￣
46 ：1-32：2008/08/14(木) 23:45:54.09 ID:4mNAIQgQ0
,. -- ､
,. '´ ヽ 長門たん、すごいお
γ (児) ヽ(ヽ三/) ）） やる夫はもう離れたくないお。
| ∠ﾆ二ﾆヽ ） ( i)))
｛, ／⌒ ⌒＼ﾉ. ヽ ＼
ｙ' （ ●） （●）＼ > ）
／::::::⌒（__人__）⌒::::: ＼' ／
| |r┬-| |/
＼ `ー'´ ／
⊂ヽ γ´ /
i !ｌ ノ ﾊ ・ ・ |
⊂ｃノ´ ヽ |
｜ /
| ｒ /
49 ：1-33：2008/08/14(木) 23:52:21.94 ID:4mNAIQgQ0
／⌒ ⌒＼ ﾎｼﾞﾎｼﾞ
／（ ●） （●）＼
／::::::⌒（__人__）⌒::::: ＼
| ｍj |ー'´ |
＼ 〈＿_ﾉ ／
ノ ﾉ
このやる夫（子路）本当に長門だけが目的であった。
仕官への道を求めることもせず、かといって師のそばにいて己の
才徳を磨こうとする事もしなかった。
この性格、死ぬまで変わらなかった。
極端に求むるところの無い・純粋な敬愛の情だけが
この男を師のそばに引き留めたのだった。
51 ：11：2008/08/14(木) 23:56:15.94 ID:4mNAIQgQ0
_／ ＼ 一方、長門はというと
ｰ=ﾆ ｧ ／ /, / ､ ｀ヽ. ＼ 「なんて扱いにくい男」
/ , 〃 / /' │ :lヽ ﾊ ＼ と驚きあきれていた。
/ / // / / │ :| ! i| l ヽ
/ ｲ l | │ j ∧ l |＼ ｉ| │ ＼
l/ | | ｌ ∧ ﾊ l '. ﾊ j ヽ ｉ| │ }￣
││ ｌ|│ﾅ下/-ヽ | ヾ /_ﾑ'― 弋| │ ! j
j. │ |i V ,ｨテ圷､ヽ ∨ ｨチ示k l: ﾄ W
ヽ | ﾊ` Vf:::::i} Vf:::::i} Y| ﾑ N
ヽ |ﾍ i l ゝー' `ー'' ﾊ! ,) }i|
｀l ヽﾑ ' /:/ ﾙｲN
', |ﾍ､ ‐ ｨ' / / ｉl
ヽ ｌヽ ＞,､ イ/７ /
＼! Ｖ厶|＞ｰ ＜ﾚ_'/ /／
>'´/ノ L､ヽ
j-' | ___＿ | ＼
ノ¨´ |´ ＿｀ｰ<| ＼
勇を好むとか柔を嫌うとかならいくらでも例があるが、
やる夫程ものの形を軽蔑する男も珍しかった。
窮極は精神に帰するとは云いじょう、礼なるものは凡て形から入らねばなら無い。
53 ：10：2008/08/15(金) 00:00:16.97 ID:OcFw4VwX0
やる夫という男は、その形から入っていくという道筋を
容易に受けつけないのである。
γ ⌒⌒ヽ
（ ( ヽ ) ﾉ 「そんなもん、嘘っ八だお。
(⌒) 三 ﾉ 从 ゝ 形なんて大事じゃないお。
三/ | ニ ＿＿＿_ (⌒) 心が大事なんだお」
| | ／＼ ／ ) し / | ミ
! ､ ／(○ ）::（○ ）⌒＼/ | ミ
＼.／:::::::（_人＿）:::::::: i' |
| ）ww） | |
＼ `ー" ﾉ
＼ ． ． ＼
＼
＼
55 ：9：2008/08/15(金) 00:04:43.45 ID:OcFw4VwX0
,.. --- ..
,..-.:.￣.:..:..:.. : : : : ｀丶、
／:..:..:. ..: : : : : : : : : : : : :＼
/:ﾍ=､､:.＿: : : : ＿＿:ヽ:_: -^,.ﾄ､ 「礼と云い、礼と云う。
ノ:..:..:./:.. ￣: :７´:―― : :|‐: :´､: ヽヽ玉はくを云わんや。
ｰ-/:..:.i:../:. : : ,/:..:.:ｲ:.ﾊ:.. : j:.. :}:.､ヽ:. ﾄヽ 楽と云い、楽と云う。
!:..:..:|:.{/:..ィ_jz≦ﾉ ' }:.／_}_ｲ:. } |:.｜|| 鐘鼓を云わんや」
Vl:.:.|:. Vl´｢＿ ､｀ ﾉ′ ＿ﾉ:ｿ:ｲ: ﾘ ﾉ
. }:ハ: : l f7｢::｀ﾊ /:::7}7ｲ:/}/ ｛儀礼や雅楽は形式よりも
ﾉﾍｰl､: :!VZﾂ ﾋ:ﾉ/:.// その精神こそが大切だ。｝
｀ｨﾍ:ﾄ､ _ _ ノ:ｲ/
rく､＼｀ ヽ二コ:千:|K、′ などというと、
|:..:ヽヽ＼: :Yﾆ|: :!:/j!:.l
ﾄ:..:..:.＼ヽ＼!r|┴＝ミ!r ァ７
｜!::.:..:.ヽ＼ヽ|! /７ /
j::.l::..:..:.⌒ｰｧ⌒} / / /^}
|::.:.＼::..::.::.::>ｰ'―-L∠_¨´
l::.::.:..:.￣￣ト ､, --､―弋i
58 ：9：2008/08/15(金) 00:09:54.29 ID:OcFw4VwX0
＿＿＿
／ ＼ やる夫は大いに喜んで聞いているが、
／ ＼
| ⌒ ⌒ | 「そうだお。そうだお」
| /// （__人__）/// |
. (⌒) (⌒) ｸﾞｯ
./ i＼ ／i ヽ
ｌ___ﾉ ヽ___i
:::::::: :: :: : :曲礼の細則（立ち居振る舞いなどの細々した礼儀作法）
:::::: :: ＿＿＿_ ::::を説く段になるとにわかに死んだような顔をする。
:::::: :::: ／ ＼ :::::: ::: ::
:::: ::::／ ─ ::::＼ ::: ::: ::
::: :: | （○） ＼::: ::: ::
::: ::|_人__） :::|
::: ::| ⌒´ |
::: ::＼ ／
::: :: 冫 ＜
::: ／:: ＼
:::ノ ＼
／´ ヽ
形式主義への、この本能的忌避と闘って、
この男に礼楽を教えるのは、長門にとっても
なかなか困難だった。
61 ：8：2008/08/15(金) 00:14:26.95 ID:OcFw4VwX0
(ヽ三/) ））
＿＿ ( i))) 「長門たん、長門たん」
／⌒ ⌒＼ ＼ 「本（もと）があって始めて
／（ ●） （●）＼ ） 末が生ずるんだお。」
.／:::::: ⌒（__人__）⌒::::＼
| (⌒)|r┬-| |
,┌､-､!.~〈`ー´/ ＿/
| | | | __ヽ、 /
ﾚレ'､ﾉ‐´ ￣〉 |
／⌒ ⌒＼ 「だから、内面がよければ
／（ ＞） （＜）＼ それだけでいいんだお。」
／::::::⌒（__人__）⌒::::: ＼
| /| | | | | |
＼ (、`ー―'´, ／
と言えば
63 ：7：2008/08/15(金) 00:18:14.36 ID:OcFw4VwX0
／ ＼
. ／ ／ ／ / ＼ 丶
. / ／ / / , / .i 丶 ヽ ヽ
/／.: / ::/ .:::/ .:| .::ｌ ､ .::. :ヽ ::..:', .ﾊ
. 〃/.::/ .:/ .::,' .::::/ .::! :::{ ::＼ .::ヽ::. ::l :::::::l: :. . ﾊ
l.::,' : .:l :::::l ::::::l ::::{ ::::ヽ ::::::::＼:::::ヽ::.. ..::l :::::::::l::: :: :::. :l.:l
|:/! :.:::| ::::ﾊ : ::∧::::八. .:::::ｉ＼..::::::l ＼::::＼::::l :::::::::l::::::::::: ! |
|{│.:.::::| ::::::ﾊ ::l ヽｌ ', :::::| ヽ::::l _＼{-ヽ| :::::::::|:::::::::::: i::l
! ! :. ;小、.:::::{ 代ーﾄ､ ヽ ..::l ＞七´__,ｨ=-､.｣ :::::::::j::::::::;::: l:,'
', :::: l:: ＼::ﾑx≠于=ミ、＼ヽ x=≠旡丁 ｀ドﾚ! ::::::::;ｲヽ ::i:::::ﾘ
ヽ:::::lヽ::::＼<ヾﾊ{.::::ヽヽ ＿ { V､::::::.}├| :::::∧ l:::,' .::/
＼ｌ ∨::{!ﾊ Vzｲ} {!⌒ﾍ} r'zィﾘ / ｌ .:::/ } ,ﾉ/l:::/
｀ ',:::ゝﾑ ー' / ヽ、 ￣ノ' | ::/ フ´::/ ﾙ′
ヽ::::`ﾍー ‐ '´ ' ￣ |.::/´;::〃/
ヽ::::{＼ ｬ‐､ jl:/::/:/ ″
＼:ﾍ ヽ ､ ¨ ／/ｲ::/V
＼! ヽ＞,､ , イ 〃:|::ト､
ヽj父rｰ＜: : : : : : : {::l) ヽ､
／...::::::| : : : : : 'y' ＼
／ .::::::/ﾉ : : / ＼
／ .:::::::::::{′ : : : : :/ ＼
「やる夫、あなたはその本を如何にして養うかについて
の実際的な考慮が足りない。」
66 ：5：2008/08/15(金) 00:24:43.84 ID:OcFw4VwX0
＿＿＿
／ ＼
／ノ ＼ u. ＼ ！ 「あっ、ごごめんだお。」
／ （●） （●） ＼
| （__人__） u. |
＼ u.｀ ⌒´ ／
ノ ＼
／´ ヽ
ヽ.__)ﾉ
と、長門に叱られるのである。
やる夫が長門に心服するのは一つのこと。
彼が長門の感化を直ちに受けつけたかどうかは、
また別のことに属する。
69 ：間違えた あと３：2008/08/15(金) 00:28:13.45 ID:OcFw4VwX0
_＿ __
, ´ `´ `'' ､ 「唯だ上知と下愚とは移らず」
／ ／ ヽヽ ＼ ｛誰でも習いによって善くも悪くも
.'／ ／ ヽ ヽ ヽなるものだが、ただとびきりの
ノｨ ' / / / , ! l ヽ ﾞ賢い者とどん尻の愚か者は変わらない｝
./ f,' i ││ |! 丶. | | | |
f | l l ,ｲ |ヽ!､. ﾄ､. | | ! |
l ,.ｲ ﾍ l ｰ!‐_､ﾄ ヾ＼ l ≠.jﾄ､,l /! ,
|ハ ,!ゞV´!:::_j` `'ｲ::_j`ﾒ|/,.-､l!
f ﾄ, ! ー' ー' ' !.ノゞ
`Viヾ.! ' j /| /
!ﾊ !ゝ. ´｀ ..ｲ /
＼ﾙヽ . ,.イノﾚ'
` rﾉ ` ´ |' -..
／ |‐- -‐ヽ ＼_ __
rｨl´ |-- ― -- / //ァ
.イ ||. |ﾆ ニニ ﾆ! _＿ // ハ
./ <~ ` ､ | 〆´ ＿_ ゝ/ |
.r' |:::＼ ﾞヽ..＿／ ,.. :´ .:::::::::::|´ |
と言ったとき、長門はやる夫のことを考えに入れていなかった。
欠点だらけではあっても、やる夫を下愚とは長門は考えない。
72 ：2：2008/08/15(金) 00:33:44.42 ID:OcFw4VwX0
＿＿＿_
／⌒ ⌒＼
／（ ●） （●）＼
／::::::⌒（__人__）⌒::::: ＼
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＼ `ー'´ ／
長門はこの剽悍な弟子の美点を誰よりも高く買っている。
それはこの男の純粋な没利害性のことだ。
この種の美しさは、この国の人々の間に在っては余りにも
稀なので、やる夫のこの傾向は、長門以外の誰からも
徳として認められなかった。
73 ：1：2008/08/15(金) 00:36:55.80 ID:OcFw4VwX0
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＼ `ー'´ ／
むしろ一種の不可解な愚かさとして写るに過ぎないのである。
しかし、やる夫の勇も政治的な才幹も、
この珍しい愚かさに比べれば、物の数ではないことを、
長門だけは知っていたのである。
そして、この男の悲劇もそこから生まれたのである。。
「やる夫は君子を全うするようです（前編）」終了
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