やる夫は信仰を売るそうです 前編
1 :1:2008/08/13(水) 20:34:22.55 ID:EhlsHfpa0 作:太宰治 「駆け込み訴え」 予備知識 太宰治が1941年に奥さんに口述記述してもらって作った作品 新潮文庫「走れメロス」に収録されている。 わずか18ページの短編 内容は、キリストを売るユダの内面を描く 1 :1:2008/08/11(月) 21:09:18.83 ID:Jx2dUH4w0 作:太宰治 「駆け込み訴え」         / ̄ ̄ ̄\       /ノ     ヽ、 \        申し上げるお。申し上げるお。     / ( ○)}liil{(○)  \.       |    (__人__)    |        \ ヽ |!!il|!|!l| /  /    /::ノ"''フ:ノ|゙ x ''|ヽ!:::_,,,L,,ノ,,ノ_ノ゙>i、 .  i/ヘ" ムノ:::::| i::::! |-''"::::/    ゙ヾノヽ   /(:::::::゙ソ"_;;;;;;ノ: :V: :ヽ,,.::''"ヽi、  をノ       (::::ヽ,ノ"!,,_::;/: :i: :i: : :ヽ_;;:::::"ヽi、   ^゙''" /::::;シ: : : : i , -ii !、\::;;ノ::::)             (::::ヽへ、: : : i    i/  ゙''ヽ,/             ヽ" | ゙''' -r|    |    !゙                | "''ヾ!|     .|                         |    i|   .|                       |   /| , il |                      |   |,レ'"~゙'ヽ        .ヽ:.......:|("::::::::y         i::::::::::| i:::::::;r' .        i:::::::::| ゙''=i'          i::::::::| .         i::::::::i          ト=-〈iiiii i i , , ,      i i iiilll|||( __,ノ|||||lllllliiiiiii i i i , , ,     ! ! ! !!lll||||!!!|||!!|||||||!!!!!!!! ! ! ' ' 2 :1:2008/08/11(月) 21:10:38.24 ID:Jx2dUH4w0               ____             /     \    旦那さま。あの人は酷い。酷いお。            /  _ノ   ヽ、\  はい。厭な奴だお。ああ。我慢ならない。          /   (○)  (O)  \     生かしておけないお。          |       ||  (__人__)  ..|  はい。落ち着いて申し上げるお。          \    ノi   !  |.  /            /    し'   `⌒´ .ノ              |       ./ ./ 3 :1:2008/08/11(月) 21:11:08.85 ID:Jx2dUH4w0          ____   あの人を、生かして置いてはならないお。         /     \ 世の中の仇だお。やる夫はあの人の居場所を知ってるお。        /  _ノ  ヽ、_  \ すぐに御案内するお。ずだずだに切りさいなんで、      / o゚((●)) ((●))゚oヽ  殺してほしいお。       |    (__人__)    | あの人はやる夫の師だお。主だお。  .      \   `⌒´   _,/ 5 :1-4:2008/08/11(月) 21:11:59.73 ID:Jx2dUH4w0          ____    やる夫は今日まであの人にどれほど意地悪くこき使わ         /     \ て来たことか。どんなに嘲弄されてきたことか。        /  _ノ  ヽ、_  \ ああ、もう、いやだお。      /  o゚⌒   ⌒゚o ヽ  怒るときに怒らなければ人間の甲斐がないお。       |    (__人__)    | .      \   `⌒´   _,/ 6 :1-5:2008/08/11(月) 21:12:47.20 ID:Jx2dUH4w0            ____    やる夫は今まであの人を、どんなにこっそり庇って          /      \ あげたか。誰も知らないんだお。あの人だって、気付        /  _ノ  ヽ、_  \いてないんだお。       /  /⌒)   ⌒゚o  \     ・        |  / /(__人__)     |       \/ /   ` ⌒´     / 8 :1-6:2008/08/11(月) 21:13:22.06 ID:Jx2dUH4w0          ____   いや、あの人は知っている。ちゃんと知ってるんだお。        / \ / \ 知っているから、あの人はやる夫意地悪く軽蔑するんだお。       / (○) (○)\ あの人は傲慢だ。あほなぐらい自惚れ屋だ。      /    (__人__)   \  やる夫から世話を受けているというのが、        |       |::::::|  し  | ひどい引目であると思い込んでいるんだお。        \       l;;;;;;l    /l!| !  あの人は何でも自分でできるかのように、      /     `ー'    \ |i   見られたくて仕方がないんだお。 9 :1-7:2008/08/11(月) 21:13:58.56 ID:Jx2dUH4w0        ___      /   ヽ、_ \   ばかな話だお。世の中はそんなものじゃ無いんだお。     /(○ ) (○) \ この世で暮して行くからには、どうしても誰かにペコぺこ   /:::⌒(__人__)⌒::::: \  頭を下げなければならないんだお。   |  l^l^lnー'´       |  あの人に何ができるんだお。   \ヽ   L        /      ゝ  ノ    /   / 11 :1-8:2008/08/11(月) 21:15:01.08 ID:Jx2dUH4w0  ∩∩∩    .    ∩∩∩   .∩_:||_:|_:|        |_:||_:|_:∩ 何にも出来ないお。もしやる夫がいなか   │ ___  つ      ⊂  ___ │  ったらあの人は、とっくの昔にアホで頓馬    ヽ   ノ  ___   ヽ  ノ   の弟子たちとどっかで野垂れ死にしてた   / /  /_ノ  ヽ、_\   ヽ \   に違いないお。   (  く   o゚((●)) ((●))゚o   > )    \ `/::::::⌒(__人__)⌒:::::\' /      ヽ|     |r┬-|     |/         \    | |  |     /           | |  |            `ー'´ 13 :1-9:2008/08/11(月) 21:15:52.08 ID:Jx2dUH4w0 師であり主「狐には穴あり、鳥にはねぐら、されども人の子には枕するところなし」 14 :1-10:2008/08/11(月) 21:16:27.56 ID:Jx2dUH4w0          ___        /     \  それ、それ、それだお。ちゃんと白状してるんだお。       /   \ , , /\  サイトに何が出来るお。ダディ、でってう、モナー、     /    (●)  (●) \  オプーナ、痴(こけ)の集まり、ぞろぞろあの      |       (__人__)   | 人について歩いて、背筋が寒くなるような、       \      ` ⌒ ´  ,/   甘ったるいお世辞をいい、天国なんて馬鹿みた .      /⌒〜" ̄, ̄ ̄〆⌒,ニつ     いなことを夢中で信じて熱狂し、その天国が       |  ,___゙___、rヾイソ⊃  近づいたら右大臣、左大臣にでもなるつもりかお。      |            `l ̄ .      |          | 15 :1-11:2008/08/11(月) 21:17:06.20 ID:Jx2dUH4w0       / ̄ ̄ ̄\     / ─    ─ \    /  (●)  (●)  \.   馬鹿な奴らだお。    |    (__人__)    |    \    ` ⌒´    /    /              \ 16 :1-12:2008/08/11(月) 21:17:50.52 ID:Jx2dUH4w0                   ___                  /     \  その日のパンにも困っていて、やる夫 ____         / ノ  ヽ、_ U\  がやりくりしないとみんな飢え死にし         |   ○ / (●)  (●)   \てしまうお。  ◎     | (((i ) |    (__人__)   U  |           |/ | ヽ \ u ` ⌒´     /   __   |  \ / ̄ヽ \_  _/フ  ̄  \      |  |    \     ヽ/  _   i  |  今日も残業だ。 __ |  |      |      :  | T|  .|─|   ⌒\\ .\     .|      :   ̄.   |  | ●)(●):::\ .\ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: (__人__)./ ̄ ̄ ̄\::::::::::::::::::::::  / ̄ ̄ ̄\ ::` ⌒´./  ⌒  ⌒ ヽ:::::::::::::::  /  ⌒  ⌒ ヽ :::::  ./   (●)(●) |::::::::::::  /  ( ●)(●) | \  |    (__ / ̄ ̄ ̄\  |    (__人__) }   \/、.     /  ⌒  ⌒ ヽ/、..    ` ⌒´  .ヽ     \    /   (●)(●) |             |   \  \  |     (__ / ̄ ̄ ̄\.      | /    |\   \/、.     /  ⌒  ⌒ ヽ──┐ |丿    | .\  \    /   (●)(●) |──┤ |    |  |\  \   |    (__人__) }──┤ |   |  |  \  \/、.    ` ⌒´ ヽ\ 17 :1-13:2008/08/11(月) 21:18:21.37 ID:Jx2dUH4w0         / ̄ ̄ ̄\         /        \  やる夫はあの人に説教をさせ、群集からこっそり      /  ─   ─   ヽ 賽銭を巻き上げ、村の物持ちから供物を取立て、宿舎       |  (●)  (●) u |の世話から日常衣類の購求まで、煩をいとわず、      \  (__人__)   __,/ してあげていたんだお。      /  ` ⌒´    \    _/((┃))______i | キュッキュッキュッキュキュッ .. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,ノ \ /  /_________ヽ.. 18 :1-14:2008/08/11(月) 21:19:07.71 ID:Jx2dUH4w0                  ____              \ │ /                /      \_             / ̄\                 / /   \( ;:;:;)          ─( ゚ ∀ ゚ )<             /( ;:;:;:;:;ノ   (−)  \            \_/   ∩ ∧ ∧      (;:;:;:;;;:;  (__人__)   .:::::)         / │ \  ( ゚∀゚ )/     / ||    ` ⌒|||   ,/ ∩ ∧ ∧   |    〈     / / |\/ /  /l |  ̄    \( ゚∀゚)∩  / /\_」    / /__|  \/ / | |      |    /   ̄       ヽ、//////) /  | |       |   |           ヽ、//////) /  | |       |   |            /  ̄ ̄ /   | |       / /\」         ____,/  )--- ヽ   ヽ つ    / /        ⊂---― 'ー----' それなのにあの人はもとより弟子の馬鹿どもまで、やる夫に一言のお礼も言わないんだお。 それどころかいつでも大変な贅沢をいい、五つのパンと魚が二つあるきりのときでさえ、 師であり主「目前の大群集みなに食物を与えよ」 19 :1-15:2008/08/11(月) 21:19:40.83 ID:Jx2dUH4w0          ___         /⌒  ⌒\         ━━┓┃┃        /(  ̄)  (_)\         ┃   ━━━━━━━━      /::::::⌒(__人__)⌒:::: \         ┃               ┃┃┃     |    ゝ'゚     ≦ 三 ゚。 ゚                       ┛     \   。≧       三 ==-      などと無理難題を言いつけなさっ         -ァ,        ≧=- 。    て、私は陰で実に苦しいやりくりを           イレ,、       >三  。゚ ・ ゚してその命じられた食い物を調え         ≦`Vヾ       ヾ ≧    ことができるんだお。         。゚ /。・イハ 、、    `ミ 。 ゚ 。 20 :1-16:2008/08/11(月) 21:20:32.86 ID:Jx2dUH4w0          ____  謂わば、やる夫はあの人の奇跡の手伝いをしてきたんだお。         /⌒   ⌒ \けどやる夫は守銭奴じゃないお。それどころかやる夫は、        / (●)  (●) \よっぽど高い趣味家(クラナド・FATE・ニコニコ)      / :::::⌒(__人__)⌒:::::ヽ   なんだお。       |     |r┬-|    | .      \_   `ー'´   _,/ 21 :1-17:2008/08/11(月) 21:21:00.07 ID:Jx2dUH4w0       ____      /⌒  ⌒\   やる夫はあの人を、美しい人だと思ってるお。    /( ●)  (●)\  子供のように慾が無く、やる夫がお金を   / :::::⌒(__人__)⌒:::::\ せっせと貯めてもすぐにそれを残らず、無駄   |     |r┬-|       | なことに使ってしまうお。   \     ` ー'´     / 22 :1-18:2008/08/11(月) 21:22:39.91 ID:Jx2dUH4w0        ____   けれどもやる夫は、恨まないお。あの人は美しい人      /_ノ   ヽ_\だからだお。    /( >)  (<)\   /::::::⌒(__人__)⌒::::: \      |     |r┬-/      |     \    ` ̄'´     / 23 :1-19:2008/08/11(月) 21:23:09.44 ID:Jx2dUH4w0          / ̄ ̄\   けれども、それならば、たまにはやる夫にも、優しい         /      \言葉の一つでもかけてもいいはずだお。        /::::::::::::::     ヽ  あのひとは、いつもやる夫に意地悪するんだお。        |::::::::::::::       | ・・・・・・         ヽ::::::::::    /   一度、あの人が春の海辺をぶらぶら歩きながら         /::::::::::::   く   ふと、         |::::::::::::::::   \             |:::::::::::::::  | 24 :1-20:2008/08/11(月) 21:23:50.68 ID:Jx2dUH4w0                       __                  _, '"´      `丶、                 /            \                   / ,' /  / /  ヽ   `ヽヽ  「ちょっと来なさい                l l j __ // ,イ   、ハヽ   }! ハ  バカやる夫」                l l 「 j_从7ヽハ  !七大 ` } リ }/  とやる夫の名を呼ん                 | l Vf゙i圷/ jl ノィアト、ヘ// /   だんだお。                   j l  l  V_:ソ  ´  V:リ /jイノ                  ,' ハ ヘ.       '  ` ,'  l !                     / / l  ヽ   ー ‐  .厶 |ハ                    //' ∧  弋ト 、 __ , r<7  l ヽ           / / / ∧   Vー、 Kヽ{   ヽ  ヽ          /  /./  /¨}   ',__∧_j_l::::ハ   \ }/          ,′  l {  /:::/   /::::ヾ ☆Y:::ハ    X          {   V r'::::::/   /::::::::::\__j:::::入xぅ/  \          ヽ  l  { :::/   /::::::::::::::::::V://∠     ',           }  ! j/  /:!::::::::::::::::::∧V _二}:ヽ   /           /  /  {   〈:::::::l:::::::::::::::/:| j/ -ーソ:::ノ   /          / /  |ヽ  \:::l:::::::::::/∠/j  rテ':〃  ( ヽ   , .      / /  、__jノ   ∧{::::::/ ,/ {  _/:::ハ   `ー彡       /  〃  、__ >   /::;>'´   /! ∨ヘ::::ヾ::\   < _       ヽ {{    =ァ 彡<::/     { >く{ ヽ:::::ヽ:::::ユ=―'´ 25 :1-21:2008/08/11(月) 21:26:08.16 ID:Jx2dUH4w0             /                 \ 「ふん」            /                 `ヽ 丶 「あんたにも、              /        .:ノ            ',  ヽお世話になっ          / /  /   .:.:/     :ヽ:. ヽ:ヽ   V   l  てるわね。」          l.:.|  :/  .:./.;イ    :ヽ:...:.:l.:.: .:|:..:l   l:  !          |.:.| .:l .: \!/ l:.:{  .:.:.|ヽ:.:}ヽ .:j .:.!    |:.  |          ヽハ:l:.| !:.:.:jV\{:八 .:.::.l }:/_,j;ィト:.l   .:l:.:  |              ヽ从:.: iイfチ心ハ 、从ィ厶斗<V  .:.jl:.:  |              \ト小._V;zソ ノ/  V;;_z1 '/  .:.:.:ハ:.:. 八               リ :} .:::::: ,     :::::::..  /  .:.:.:/.:.ヽ:.:.: ヽ             _..ノ/八            /  .:.:.:/.:.:.:.:.\:.:.  \          , -‐´ :/ .:.:>,.、 ´ ヽ   ィ′ .:.:.: ハ;.__ .:.:.:.:\:.:.:   ̄`丶、         〃 .:.:/  .:.:.:.:.: ノ'¨ ヽ、_ , ィ≦7   :.:.:./'´  ヽ.:.:.:.:.` ー- 、:.   ヽ          l .:./  .:.:.:.:. ;.'イ\ ノ} /`∨  :.:.:.:{     ゝー、.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:  }          {.:/  .:.:.:.:.:/  }  Vx1_/  {   :.:.:.:ヽ      ∧.:.:.:.:.:.:.:}:.:. ,′        〃  :.:.:.:./   j/  ̄ ̄ ヽ入   :.:.:.:.:.\      ヽ.:.:.:.:./:.:/        {  :.:.:.:.{      |     /  \   :.:.:.:.:.\     ):.:/:.;イ 26 :1-22:2008/08/11(月) 21:27:03.49 ID:Jx2dUH4w0                  -――- 、                 , ‐'´         \「あんたの寂しさには気付いている              /            、 ヽのよ。けれどいつまでもそんな不機              |l l /〃 ヽ ヽ} |  l  ', 嫌な顔をしちゃ駄目よ。」     \          .ljハ トkハ  从斗j │ ハ        \          l∧}ヾソ V ヾソ !  ! ヽ \       \ __  __ リ.人  v‐┐ /" ト、  ヽ ヽ          {心下ヽ /"  >ゝ-'<{   Vl   } }           ゝ<}ノ \  (:::::Y Y:::::!   ヽヘ  { { 29 :1-23:2008/08/11(月) 21:28:31.68 ID:Jx2dUH4w0 「                      __                  _, '"´      `丶、                 /            \                   / ,' /  / /  ヽ   `ヽヽ                l l j __ // ,イ   、ハヽ   }! ハ                l l 「 j_从7ヽハ  !七大 ` } リ }/                 | l Vf゙i圷/ jl ノィアト、ヘ// /                   j l  l  V_:ソ  ´  V:リ /jイノ                  ,' ハ ヘ.       '  ` ,'  l !                     / / l  ヽ   ー ‐  .厶 |ハ                    //' ∧  弋ト 、 __ , r<7  l ヽ           / / / ∧   Vー、 Kヽ{   ヽ  ヽ          /  /./  /¨}   ',__∧_j_l::::ハ   \ }/          ,′  l {  /:::/   /::::ヾ ☆Y:::ハ    X          {   V r'::::::/   /::::::::::\__j:::::入xぅ/  \          ヽ  l  { :::/   /::::::::::::::::::V://∠     ',           }  ! j/  /:!::::::::::::::::::∧V _二}:ヽ   /           /  /  {   〈:::::::l:::::::::::::::/:| j/ -ーソ:::ノ   /          / /  |ヽ  \:::l:::::::::::/∠/j  rテ':〃  ( ヽ   , .      / /  、__jノ   ∧{::::::/ ,/ {  _/:::ハ   `ー彡       /  〃  、__ >   /::;>'´   /! ∨ヘ::::ヾ::\   < _       ヽ {{    =ァ 彡<::/     { >く{ ヽ:::::ヽ:::::ユ=―'´ 「寂しいときに、さびしそうな顔をするのは、それは偽善者なのよ。寂しさを人にわかって貰おうとして、ことさらに顔色を変えて見せているだけなの。 本当に神を信じているならば、あんたは、寂しいときでも素知らぬふりして顔を綺麗に洗い、頭に膏を塗り、微笑んでいなさいよ。」 30 :1-24:2008/08/11(月) 21:29:19.27 ID:Jx2dUH4w0       / ̄ ̄ ̄\         / ─    ─ \   ……    /  (●)  (●)  \.     |    (__人__)    |     \    ` ⌒´    /     /              \  32 :1-25:2008/08/11(月) 21:30:37.26 ID:Jx2dUH4w0             /                 \            /                 `ヽ 丶「わからないの。」              /        .:ノ            ',  ヽ          / /  /   .:.:/     :ヽ:. ヽ:ヽ   V   l          l.:.|  :/  .:./.;イ    :ヽ:...:.:l.:.: .:|:..:l   l:  !          |.:.| .:l .: \!/ l:.:{  .:.:.|ヽ:.:}ヽ .:j .:.!    |:.  |          ヽハ:l:.| !:.:.:jV\{:八 .:.::.l }:/_,j;ィト:.l   .:l:.:  |              ヽ从:.: iイfチ心ハ 、从ィ厶斗<V  .:.jl:.:  |              \ト小._V;zソ ノ/  V;;_z1 '/  .:.:.:ハ:.:. 八               リ :} .:::::: ,     :::::::..  /  .:.:.:/.:.ヽ:.:.: ヽ             _..ノ/八            /  .:.:.:/.:.:.:.:.\:.:.  \          , -‐´ :/ .:.:>,.、 ´ ヽ   ィ′ .:.:.: ハ;.__ .:.:.:.:\:.:.:   ̄`丶、         〃 .:.:/  .:.:.:.:.: ノ'¨ ヽ、_ , ィ≦7   :.:.:./'´  ヽ.:.:.:.:.` ー- 、:.   ヽ          l .:./  .:.:.:.:. ;.'イ\ ノ} /`∨  :.:.:.:{     ゝー、.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:  }          {.:/  .:.:.:.:.:/  }  Vx1_/  {   :.:.:.:ヽ      ∧.:.:.:.:.:.:.:}:.:. ,′        〃  :.:.:.:./   j/  ̄ ̄ ヽ入   :.:.:.:.:.\      ヽ.:.:.:.:./:.:/        {  :.:.:.:.{      |     /  \   :.:.:.:.:.\     ):.:/:.;イ 「寂しさを、人にわかって貰わなくても、 どこか目に見えないところにいるあんたの誠の父だけが、 分かっていてくださったのなら、それでいいじゃない。」 「寂しさは、誰にだってあるのよ」 やる夫はそれを聞きなぜだか声を出してなきたくなったんだお。 34 :1-26:2008/08/11(月) 21:32:55.50 ID:Jx2dUH4w0          ____   いいえ、やる夫は天の父に分かって戴けなくても、また         /     \ 世間のものに知られなくても、ただ、あなたお一人さえ、        /  _ノ  ヽ、_  \ 分かっていて下さったら、それでもう、良いんだお。      / o゚((●)) ((●))゚oヽ         |    (__人__)    |   .      \   `⌒´   _,/ 35 :1-27:2008/08/11(月) 21:33:39.01 ID:Jx2dUH4w0       ____      /⌒  ⌒\    やる夫はあなたを愛しているお。ほかの弟子たちよりも、    /( ●)  (●)\ 深く誰よりも愛しているお。   / :::::⌒(__人__)⌒:::::\    |     |r┬-|       |    \     ` ー'´     /   37 :1-28:2008/08/11(月) 21:34:04.44 ID:Jx2dUH4w0       ____      /\  /\  ダディやでってう達は、ただ、あなたについてゆけば良い事    /( ●)  (●)\ があると、考えているが、やる夫は知ってるお。   / :::::⌒(__人__)⌒:::::\   |     |r┬-|       |   \     ` ー'´     / 38 :1-29:2008/08/11(月) 21:34:43.84 ID:Jx2dUH4w0       ____    あなたについて歩いたって、なんの得することも無いという       /      \ ことを知ってるお。    /         \ それでもやる夫はあなたから離れることが出来ないお。   /   ⌒   ⌒   \  どうしたのでしょう。   |  /// (__人__) ///  |   \             / 40 :1-30:2008/08/11(月) 21:36:15.35 ID:Jx2dUH4w0        ____        /⌒三 ⌒\   あなたが此の世からいなくなったら、やる夫はすぐに死ぬお    /( ○)三(○)\ 生きてることが出来ないお。   /::::::⌒(__人__)⌒:::::\   |     |r┬-|     |   \      `ー'´   / 42 :1-31:2008/08/11(月) 21:38:26.96 ID:Jx2dUH4w0                             ∩_               〈〈〈 ヽ  やる夫に提案があるお。       ____   〈⊃  }  それはあなたが、くだらない弟子からはなれ、      /⌒  ⌒\   |   |  また天の父の御教えとやらを説かれることも    /( ●)  (●)\  !   !  お止しになって、つつましい民の一人として   / :::::⌒(__人__)⌒:::::\|   l  お母上と、私と、それだけで静かな一生を永く   |     |r┬-|       |  / 暮らしていくことだお。   \     ` ー'´     //   / __        /   (___)      / 43 :1-32:2008/08/11(月) 21:39:01.72 ID:Jx2dUH4w0       ____   やる夫の村には、まだやる夫の小さな家が残っているお。      /⌒  ⌒\ 年老いたじじぃとババァも居るお。ずいぶん大きな桃畠があるお。    /( ●)  (●)\ 春、いまごろは、桃の花が綺麗だお。   / :::::⌒(__人__)⌒:::::\  一生、安楽に暮らせます。やる夫がいつでもお傍につい   |     |r┬-|       | て、ご奉仕するお。   \     ` ー'´     / 45 :1-33:2008/08/11(月) 21:39:37.76 ID:Jx2dUH4w0       ____     /      \  そうやる夫が言ったら、あの人は、薄くお笑になり、    / ─    ─ \  /  ( ●)  (●)  \  |      (__人__)     |  \     ` ⌒´    / 46 :1-34:2008/08/11(月) 21:40:27.13 ID:Jx2dUH4w0                       __                  _, '"´      `丶、                 /            \                   / ,' /  / /  ヽ   `ヽヽ                l l j __ // ,イ   、ハヽ   }! ハ                l l 「 j_从7ヽハ  !七大 ` } リ }/                 | l Vf゙i圷/ jl ノィアト、ヘ// /                   j l  l  V_:ソ  ´  V:リ /jイノ                   ,' ハ ヘ.       '  ` ,'  l !                    / / l  ヽ   ー ‐  .厶 |ハ                   //' ∧  弋ト 、 __ , r<7  l ヽ           / / / ∧   Vー、 Kヽ{   ヽ  ヽ          /  /./  /¨}   ',__∧_j_l::::ハ   \ }/          ,′  l {  /:::/   /::::ヾ ☆Y:::ハ    X          {   V r'::::::/   /::::::::::\__j:::::入xぅ/  \          ヽ  l  { :::/   /::::::::::::::::::V://∠     ',           }  ! j/  /:!::::::::::::::::::∧V _二}:ヽ   /           /  /  {   〈:::::::l:::::::::::::::/:| j/ -ーソ:::ノ   /          / /  |ヽ  \:::l:::::::::::/∠/j  rテ':〃  ( ヽ   , .      / /  、__jノ   ∧{::::::/ ,/ {  _/:::ハ   `ー彡       /  〃  、__ >   /::;>'´   /! ∨ヘ::::ヾ::\   < _        ヽ {{    =ァ 彡<::/     { >く{ ヽ:::::ヽ:::::ユ=―'´ 「サイトもダディは二次元住民よ。美しい桃の畠も無いわ。 でってうもオプーナも赤貧のゲームキャラよ。 あの人たちには、そんな、一生を安楽に暮らせる場所は、どこにも無いのよ。」 48 :1-35:2008/08/11(月) 21:41:03.48 ID:Jx2dUH4w0       ____     /      \  と低く独り言のように呟いて、また海辺を静かに歩き始めたん    / ─    ─ \ だお。後にも先にも、あの人とお話できたのは、この一度だけだ  /  ( ●)  (●)  \ ったお。  |      (__人__)     |  \     ` ⌒´    / 51 :1-36:2008/08/11(月) 21:43:08.64 ID:Jx2dUH4w0       ____   やる夫はあの人を愛しているお。あの人が死ねば、やる夫も死      /_ノ ' ヽ_\ ぬお。あの人は誰のものでもない。やる夫のものだ。    /(≡)   (≡)\ あの人がを他人に渡すくらいなら、手渡す前に、やる夫が   / /// (__人__) ///\   |     |r┬-|      |   \     ` ー'´    / 53 :1-37:2008/08/11(月) 21:43:43.29 ID:Jx2dUH4w0              ,. -─────────‐- .、             // ̄ ̄\      / ̄ ̄\\     殺してあげるお。           /                     \          /        ::::::::::::::::::::::::::::::::       \        /   / / ̄\\::::;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::// ̄\\  \       /    |  |. ◎ .| | ::::;;;;;;;;;;;;;::::| |. ◎ .| |    \     /      \ \_// :::::::::::::::::: \\_//      \    /     ../ ̄ ̄\ /   ::|::   \ / ̄ ̄\..     \   /         :::::      |      |      |       :::::      ヽ.  |               |      |      |              |.  |               \__/\__/               |  |                |       |               |  |                |r─‐┬──、|                |  ヽ                |/   |    |              /    \              \      /             /     \               ̄ ̄ ̄ ̄             / 54 :1-38:2008/08/11(月) 21:44:17.03 ID:Jx2dUH4w0          ___    父を捨て、母を捨て、故郷も捨てて、あの人につい        /     \ てきたんだお。       /   \ , , /\  天国も神も信じない。どうしてあの人がイスラエルの     /    (●)  (●) \ 王なものか。       |       (__人__)   |  馬鹿な弟子どもは、あの人を神と信じて、       \      ` ⌒ ´  ,/   あの人から神の福音を伝い聞いては、浅ましく .      /⌒〜" ̄, ̄ ̄〆⌒,ニつ     欣喜雀躍しているお。       |  ,___゙___、rヾイソ⊃         |            `l ̄ .      |          | 55 :1-39:2008/08/11(月) 21:44:57.28 ID:Jx2dUH4w0              / ̄ ̄^ヽ               l      l        ____        _   ,--、l       ノ .     /_ノ  ヽ、_\    ,--、_ノ:: `ー'::   、ミー---‐,,l     o゚((●)) ((●))゚o  今にがっかりするに   ,/   :::         i ̄ ̄  | .  /::::::⌒(__人__)⌒::::: \ 決まってるお。 /           l:::    l:::   ll   |     |r┬-|     |    (⌒) l   l .   l     !::    |:::   l   |     | |  |     |    ノ ~.レ-r┐、 |   l   l     |::    l:    l .  |     | |  |     |   ノ__  | .| | | |   l .   }    l:::::,r-----   l.  \      `ー'´     ./ 〈 ̄   `-Lλ_レレ ヽ  :l::::   ト:;;;;;;;;;/-/__...........  /                   ̄`ー‐---‐‐´ 61 :1-40:2008/08/11(月) 21:49:31.29 ID:Jx2dUH4w0           ____           / \  /\ キリッ .     / (ー)  (ー)\           /   ⌒(__人__)⌒ \  師であり主「おのれを高うする者は卑うせられ、     |      |r┬-|    |       おのれを卑うする者は高うせられる。」      \     `ー'´   /     ノ            \   /´               ヽ                |    l              \  ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、.       ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))           ____         /_ノ  ヽ、_\  ミ ミ ミ  o゚((●)) ((●))゚o      ミ ミ ミ /⌒)⌒)⌒. ::::::⌒(__人__)⌒:::\   /⌒)⌒)⌒) | / / /     |r┬-|    | (⌒)/ / / //  そんなに甘いわけねーお。 | :::::::::::(⌒)    | |  |   /  ゝ  :::::::::::/      |     ノ     | |  |   \  /  )  /    ヽ    /     `ー'´      ヽ /    /   |    |   l||l 从人 l||l      l||l 从人 l||l  バ   ン  ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、    ン   ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒)) 63 :1-41:2008/08/11(月) 21:50:13.28 ID:Jx2dUH4w0       ____  あの人は嘘つきだ。言うこと言うこと、一から十まで出鱈目だお。       /_ノ ヽ、_ \    o゚((●)) ((●))゚o   /::::::⌒(__人__)⌒::::::\   |       |r┬-|     |   \     `ー'´     / 64 :1-42:2008/08/11(月) 21:50:45.45 ID:Jx2dUH4w0       ____  でもやる夫はあの人の美しさだけは信じているお。      /⌒  ⌒\ あんな美しい人は此の世に居ないお。あの人の美しさを純粋に    / (―)  (―)\ 愛している。   / :::::⌒(__人__)⌒:::::\   |                 |   \              / 65 :1-43:2008/08/11(月) 21:51:18.47 ID:Jx2dUH4w0       ____            /_ノ   ヽ_\   それだけだお。あの人から離れたくないお。ただ声を聞き、    /( >)  (<)\姿を眺めていればそれでいいお。できればやる夫と二人で   /::::::⌒(__人__)⌒:::::\ ∩  一生暮らしていきたいお。   |     |r┬-/      |/⌒l    \    ` ̄'´     / | `| 66 :1-44:2008/08/11(月) 21:51:51.74 ID:Jx2dUH4w0       ____      /_ノ ' ヽ_\  あああ、そうなったら、どんなに仕合せなんだお。    /(≡)   (≡)\ やる夫は今の、この現世の喜びだけを信じてるお。   / /// (__人__) ///\  来世の審判なんて怖くないお。   |     |r┬-|      |   \     ` ー'´    / 68 :1-45:2008/08/11(月) 21:52:29.94 ID:Jx2dUH4w0       ____     /      \  あの人は、やる夫のこの無報酬の、愛をどうして受け取って    / ─    ─ \  くれないのかお。  /  ( ●)  (●)  \  |      (__人__)     |  \     ` ⌒´    / 69 :1-46:2008/08/11(月) 21:53:07.36 ID:Jx2dUH4w0   ::::::::  ::    ::     :::::  ::  :::   ::::::  ::   ____   :::::  ::::  :::   ::::::  :::: /  :::  \ :::   :::   ::   ::::  ::::/   ::     \::  :::  :: ・・・・・・ああ  ::::  /:::    ─    ─ \ ::  ::  :::  |  ::   .(_)  (_)  | :  ::::   :::   \     (__人__)  ,/ :  :::   ::  ノ      ` ⌒´   \ :   :::   /´               ヽ  :::  |    l              \:::  ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、.   ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒)) 70 :1-47:2008/08/11(月) 21:53:45.94 ID:Jx2dUH4w0        ____      /ノ   ヽ、_\   あの人を殺して下さいお。旦那さま。やる夫はあの人の    /( ○)}liil{(○)\ 居場所を知ってるお。ご案内するお。あの人はやる夫を賤し   /    (__人__)   \ め、憎悪してるお。嫌われてるお。やる夫はあの人や、   |   ヽ |!!il|!|!l| /   | 弟子たちのパンのお世話をし、日々の飢渇から救っ   \    |ェェェェ|     /  ているのに、どうしてあんなに意地悪をするんだお。 74 :1-48:2008/08/11(月) 22:00:50.64 ID:Jx2dUH4w0               ____  お聞きくださいお。六日前のことだお。ある村             /     \であの人が食事をなさっていたとき、その村の            /  _ノ   ヽ、\ ミクルというやつめが、ミルクをいっぱい          /   (○)  (O)  \ 満たした壺をこっそり這入って来て、          |       ||  (__人__)  ..| だしぬけに、そのミルクをあの人          \    ノi   !  |.  / の頭にざぶと注いで御足まで濡らし           /    し'   `⌒´ .ノ   んだお。           |       ./ ./ 75 :1-49:2008/08/11(月) 22:01:47.84 ID:Jx2dUH4w0                /:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.l:.:、:.:|:.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.ヽ             //:.:.:.:./:.:./:/ |:.:.|:.、:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.:.:.:.:.l|:.:.:.:ト!               |:|!:.:.:.:.:!:.:.|:/  !:.:|:.:l:.:.:._l:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.||:.:.:ノ|「私の髪で               |ハ:.:.:.:.:|:.:.|'| ̄ !:.:ト、\:.:.:.|l`ヽ|:.:.:|:.:/l:/ハ お拭き致               l! ヽ:.:.:.l:.:.l:|  ヽl  ヽ=≠-、:.l|:.:.:|//彡/:|\  します。」               \:|:.:.|=-‐    トしrハ|:.:ノ|/! |´|:.:|:.:.:ヽ                  i`:.l     ,     ー‐' ,':.:.:.:トノ:!:.:l:.:|:.|:.l!|                  |:ノ:.\iヽ ー‐    /:.:.:.:/:|:.:.:.|:.:|:.:lソレ'                //:.:.:.l「| ト、__,.. ィ/:.:.:.:斗-!:.:.:|:.:.:.:.ヽ                /:.:/:.:.:./l/ ノ,へ ! /:.:./   \l:.:.:.:.:.:.',              /:.:.:/:.:.:./|/ 'ー-ri /:.:.:.:/  ,    |ヽ:.:.:.:.:.:',            /:.:.:.:.ノ!:.:./ !  二j´ /:.:.:.:/ /       l:.:.\:.:.:.:.',           /:.:.:.:.:.:/ ∨ノ/  ,rノー|:.:/ノ´_,,. -‐  /!:.:.:.:.:ヽ:.:.:l           !:.:.:.:/_, -‐' .〉 ,ィ´ ̄l:/ '´       /:.|:.:.:.:.:.:.:|:.:.:|  その失礼をわびるどころか、落ち着いてしゃがみ、 ミクル自身の髪であの人の両足を丁寧に拭いているんだお。 こいつに怒鳴ったんだお。 76 :1-50:2008/08/11(月) 22:02:28.74 ID:Jx2dUH4w0         ノ L____   ざけんな、ホルスタイン。こんな高価なミルクをぶちま        ⌒ \ / \ けて、もったいないと思わないかお。このビッチ。これだ       / (○) (○)\けのミルクだったら300エナリもするではないか。こ      /    (__人__)   \のミクルを売って、300エナリ信者けて、その金を      |       |::::::|     |ば貧乏人に施してやったら、どんなに貧乏人が      \       l;;;;;;l    /l!| !喜ぶか知れないお。      /     `ー'    \ |i           /          ヽ !l ヽi     .'  , ..    (   丶- 、       しE |そ  ・;`.∴ '     `ー、_ノ       煤@l、E ノ < ,:;・,‘                レY^V^ヽl    ’ .', .. とやる夫さんざん叱ったんだお。 するとあの人は、やる夫のほうを、 77 :1-51:2008/08/11(月) 22:03:06.17 ID:Jx2dUH4w0             /                 \            /                 `ヽ 丶              /        .:ノ            ',  ヽ          / /  /   .:.:/     :ヽ:. ヽ:ヽ   V   l          l.:.|  :/  .:./.;イ    :ヽ:...:.:l.:.: .:|:..:l   l:  !  屹っ          |.:.| .:l .: \!/ l:.:{  .:.:.|ヽ:.:}ヽ .:j .:.!    |:.  |          ヽハ:l:.| !:.:.:jV\{:八 .:.::.l }:/_,j;ィト:.l   .:l:.:  |              ヽ从:.: iイfチ心ハ 、从ィ厶斗<V  .:.jl:.:  |              \ト小._V;zソ ノ/  V;;_z1 '/  .:.:.:ハ:.:. 八               リ :} .:::::: ,     :::::::..  /  .:.:.:/.:.ヽ:.:.: ヽ             _..ノ/八            /  .:.:.:/.:.:.:.:.\:.:.  \          , -‐´ :/ .:.:>,.、 ´ ヽ   ィ′ .:.:.: ハ;.__ .:.:.:.:\:.:.:   ̄`丶、         〃 .:.:/  .:.:.:.:.: ノ'¨ ヽ、_ , ィ≦7   :.:.:./'´  ヽ.:.:.:.:.` ー- 、:.   ヽ          l .:./  .:.:.:.:. ;.'イ\ ノ} /`∨  :.:.:.:{     ゝー、.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:  }          {.:/  .:.:.:.:.:/  }  Vx1_/  {   :.:.:.:ヽ      ∧.:.:.:.:.:.:.:}:.:. ,′        〃  :.:.:.:./   j/  ̄ ̄ ヽ入   :.:.:.:.:.\      ヽ.:.:.:.:./:.:/        {  :.:.:.:.{      |     /  \   :.:.:.:.:.\     ):.:/:.; と見て、こう言ったんだお。 78 :1-52:2008/08/11(月) 22:05:53.30 ID:Jx2dUH4w0    /  ゙: : :::::::::::/;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙/; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;"`';:、    i; ; ; ; ,  `::::::/;;;;;;;;;;;;;;;;;''/; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;/; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;l; ; ; ; ; ; ; ;;`;、    i; ; ; ; ; ;://;;;;;;;;;;;;;;;;;;'/  /    /`/`' ' :l ; ; ; ; ; ; ; ; ;ヽl ; ; ; ; ; ; ; :' ' ゙    .i; ; ; ; ; l::ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;i, , ; l ; ; ; ; ; ;i ; l; ; ; ,i , ,    ` ' ' ' ヽ` `  、     i    !; ; ; ; ;l:::::::\;;;;;;;;;;;i ;::::l ; ; ; ; ; ; |; ;l ;::::::i:::ヽ::; ;l ; ; ; ; ; ; ; ヽ, , , i; ; ; ; ; ; ;l    i; ; ; ; ;|:::::::::::\;;;;;;l:: ::::l; ; ; ; ; ; ; | :l ;::::::|:::::ヽ; ;;l::: i::: ; ; ; ; ;ゝ::: ;:i; ; i;; ; ; ;|    .i; ; ; ; |:::::::::::::::\/::::::i; ; ; ; ; ; ; ;|:::::i:::::::lヽ::|ヽ:: lヽ|::::::; ; ; |::l::::::; l; ::::: ; |; l     ); ; ; ;|:::::::::::::::::::/l:::::::i::i; ; ; ; ; ; ;|  ``''‐、;;l \ l::::::::; ;/l::/ヽ::::l:::::::; ;ll;/    ノ; ; ; ;l::::::::::; :::::/::::ヽ:l:: l; ; ; ; ; ; ;i ;・;;'""ii''ヽ、・、\|:::::/,イ'|/・|::ノ:::::/: /l/   /; ; ; ; ;|:::::::; ;::::/::::/::|:::ヽ; ; ; ; ; ;;l '"i ;;:::  ;i   // ,'ii,  ! iヽl::/ / ,;"; ; ; ; ; ; ;l:::::; ; :::/:::/::::::::l::::; `; ; ; ; ; ;i  ! .;;::'';;"/      l::;;;;'' / /' / ; ; ::::::i; ; ; ;;; ; ; ::::::/:::::::::::|:::::; ヽ; ; ; ; ;l  ''""     、  ゙''''"´ l; ; l ;:::::::::l; ; ; ; ; ; :::::/:::::::::::::::l:::::ヽヽ; ; ; ; ;l    , -ー-,,__      i; ; i  "'::l; ; ; ; ; ;:::/:::::::::::::::::::::::l:::::::ヽヽ; ; ; ; l   /::::::::::::::'';;;;゙/    ノ; ; l :::...i i ' ' ' ''/::::::::::::::::::::::::::l::::::::ヽヽ; ; ; ;lヽ、' ー;;;;;;;;;;;;;;;''/ ,, -'" ; ; ;l :::::::ヽl; ; ; ;:/..i....''''''::::-"""''l::::::::::::i ;ヽ; ; ;l,,,,,`''::-、 '' ,-''"i:::::::; ; ; ; ;ヽ ; ::::::::ヽ; ; ;:::::l::::::::::イ    l:::::::::::::ヽ ヽ; ;ヽ;;;;;;;;;'/ ` '   i::::::::: ; ; ; ; ;ヽ ; ; ::::::::::ヽl::::l:::::::::/     l:::::::::::::::ヽ; ヽ; ; l `''(      l'':::::::::; ; ; ; ; ;ヽ ; ; ; ; :::::::):::l:::::::::l       i ::::::::::::::::ヽ; ヽヽ _,, '´    ヽ:....' ' ::..; ; ; ; ;ヽ ; ; ; ; ::::ノ :::l:::::::i       ヽ :::::::::::::::.ヽ; ; ヽ       ! l::ヽ::::::.... ' '; ; ; ;ヽ 「この人を叱らないで。この女の人はとってもいいことをしたのよ。 貧しい人にお金を施すことはこれから先、いくらでも出来るじゃない。 けど私には、もう施しが出来なくなっているのよ。理由はいえないわ。 この未来人だけは知っているの。この女が私の体にミルクを注いだのは、 私の葬いの備えをしてくれたのよ。全世界、どこの土地でも、 私の短い一生を言い伝えられるところに、 必ず、この女の今日の仕草も記念として語り継がれるのよ。」 79 :1-54:2008/08/11(月) 22:06:45.66 ID:Jx2dUH4w0   .:| :/\ :/ | .:.|:.      :、 :.|\/_ .:ト、:.:.  .:∧>≧示、l :∧:.     .:.|.: :\:x≦==ミ<ハ:.:.  .:lイ::/´´/::テ \ ∧:.:.   .:.|.:l ://:テ ハ  \「 |.:.  :ハヘ{   |:iへ._.イ|ゞ-\:.:.:.:.:|.:レ' |:iへ-イ:|    '∧:.  :| ヘ   V:::::::::ノ|     ):.:/|/  V::::::ノ/   /:.:|/ \!:.:ハ   ゞ>''^   //    `ー<   /:.:.:.  .:l :ハ /!/|//i/     ' _.. -― 、/i//|/ /.:.:.:.  .:|  :ハ      /'´ ̄ ̄      ∨   /.:.:.:.:.   :',  .:.ト、   |           |  /:.:.:.:.:.:. \ \  |> 、 ゞ         ノ. イ:.:.:.:.:.:.:.:.:. そういい結んだときに、あの人の顔が幾分か上気して赤くなっていたんだお。 81 :1-55:2008/08/11(月) 22:09:04.68 ID:Jx2dUH4w0     (⌒     /⌒  ー、\       (  ≡   /( ●)  (●)\   はっ(笑)     (_,  /::::::⌒(__人__)⌒::::::\  やる夫はこんな言葉信じないお。またいつ .    cー、  |     |r┬-/ '      |.  ,一っ ものお芝居だお。だから平気で聞     ,へ λ \    `ー‐'      / 入  へ、 き流す事が出来たお。   <<</ヽ                    /\>>> 82 :1-56:2008/08/11(月) 22:09:38.48 ID:Jx2dUH4w0       ____    けどあの人の赤らんだ頬と薄く潤んだ瞳を見た     /      \  やる夫は気付いたお。    / ─    ─ \  /  ( ●)  (●)  \  |      (__人__)     |  \     ` ⌒´    / 82 :1-56:2008/08/11(月) 22:09:38.48 ID:Jx2dUH4w0       ____    けどあの人の赤らんだ頬と薄く潤んだ瞳を見た     /      \  やる夫は気付いたお。    / ─    ─ \  /  ( ●)  (●)  \  |      (__人__)     |  \     ` ⌒´    / 83 :1-57:2008/08/11(月) 22:11:51.67 ID:Jx2dUH4w0        ____      /ノ   ヽ、_\   あの人はこんな女に恋、では無いが、でもそれに似た感情    /( ○)}liil{(○)\ を抱いたのでないかお?あの人ともあろうものが、それは   /    (__人__)   \ なんと失態。   |   ヽ |!!il|!|!l| /   |   \    |ェェェェ|     / 84 :1-58:2008/08/11(月) 22:12:25.75 ID:Jx2dUH4w0       / ̄ ̄ ̄\   やる夫は、人の恥辱となるような感情を嗅ぎわけるのが、生     / ―     ― \ まれつき巧みなんだお。自分でもそれを下品な嗅覚だと思い    /  (○)  (○)  \.嫌でありますが、    |    (__人__)    |     \    |r┬-|    /      /     `ー'´     \ 85 :1-59:2008/08/11(月) 22:14:01.89 ID:Jx2dUH4w0      ____     / ⌒  ⌒  \   ./( ―) ( ●)  \   /::⌒(_人_)⌒:::::  | チラッ   |    ー       .|   \          / と一目見ただけで、人の弱点を、 あやまたず見届けてしまう鋭敏の才覚を持ってるお。 86 :1-60:2008/08/11(月) 22:17:29.32 ID:Jx2dUH4w0       / ̄ ̄ ̄\    やる夫の眼に狂いは無いお。たしかにそうだお。     / ―     ― \        /  (○)  (○)  \.      |    (__人__)    |     \    |r┬-|    /      /     `ー'´     \ 99 :1-61:2008/08/11(月) 23:04:59.14 ID:Jx2dUH4w0          / ̄ ̄ ̄ \    ああ、我慢できないお。堪忍ならないお。       /   :::::\:::/\  やる夫は、あの人も、こんな体たらくではもう駄目      /    。<一>:::::<ー>。 だと思ったお。醜態の極だお。あの人はこれまでどん      |    .:::。゚~(__人__)~゚j な人に好かれても、いつでも美しく、水のように      \、   ゜ ` ⌒´,;/゜ 静かだった。いささかも取り乱すことが無かった     /  ⌒ヽ゚  '"'"´(;゚ 。   お。    / ,_ \ \/\ \     と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.  103 :1-62:2008/08/11(月) 23:10:15.84 ID:Jx2dUH4w0  ∩∩∩    .    ∩∩∩   .∩_:||_:|_:|        |_:||_:|_:∩ヤキがまわったお。   │ ___  つ      ⊂  ___ │   だらしねえお。    ヽ   ノ  ___   ヽ  ノ      / /  /_ノ  ヽ、_\   ヽ \   (  く   o゚((●)) ((●))゚o   > )    \ `/::::::⌒(__人__)⌒:::::\' /      ヽ|     |r┬-|     |/         \    | |  |     /           | |  |            `ー'´ 105 :1-63:2008/08/11(月) 23:14:56.91 ID:Jx2dUH4w0        ____      /      \   みくるは綺麗な女なんだお。不思議な程気高いんだお。    /  _ノ  ヽ、_  \  やる夫だってあの女を狙ってたんだお。町に出たとき   / o゚((●)) ((●))゚o \  何か白絹でも、買ってきてやろうと思ったのに。   |     (__人__)    |      \     ` ⌒´     / 107 :1-63:2008/08/11(月) 23:21:43.76 ID:Jx2dUH4w0        ____   地団太を踏むほど口惜しいお。      /      \ やる夫は才能はあるし、家も畠も持ってたんだお    /  _ノ  ヽ、_  \ あの人のためにその特権を全部捨ててきたのに。   /  o゚⌒   ⌒゚o  \     |     (__人__)    |     \     ` ⌒´     / 109 :1-64:2008/08/11(月) 23:29:08.50 ID:Jx2dUH4w0          ____        / \ / \  だまされたお。あの人は、嘘つきだお。旦那さま。あの       / (○) (○)\人は、やる夫の女をとったんだお。      /    (__人__)   \          |       |::::::|  し  |         \       l;;;;;;l    /l!| !         /     `ー'    \ |i 110 :1-65:2008/08/11(月) 23:35:34.64 ID:Jx2dUH4w0         ノ L____        ⌒ \ / \  いや違う。あの女が、やる夫からあの人を奪ったんだお。       / (○) (○)\      /    (__人__)   \      |       |::::::|     |      \       l;;;;;;l    /l!| !      /     `ー'    \ |i           /          ヽ !l ヽi     .'  , ..    (   丶- 、       しE |そ  ・;`.∴ '     `ー、_ノ       煤@l、E ノ < ,:;・,‘                レY^V^ヽl    ’ .', .. 113 :1-66:2008/08/11(月) 23:40:12.12 ID:Jx2dUH4w0   ::::::::  ::    ::     :::::  ::  :::   ::::::  ::   ____   :::::  ::::  :::   ::::::  :::: /  :::  \ :::          ::::  ::::/   ::     \::  :::  :: ああ、それもちがうお。  ::::  /:::    ─    ─ \ ::  ::  やる夫の言うことはみんな出鱈目だお。  :::  |  ::   .(_)  (_)  | :  ::::   :::   \     (__人__)  ,/ :  :::   ::  ノ      ` ⌒´   \ :   :::   /´               ヽ  :::  |    l              \:::  ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、.   ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒) 115 :1-67:2008/08/11(月) 23:44:46.26 ID:Jx2dUH4w0             / ⌒`"⌒`ヽ、                         /,, / ̄ ̄ ̄ ̄\     ごめんだお。一言も信じないで欲しいお。           /,//::         \  わからなくなってきたお。          ;/⌒'":::..            |⌒ヽ ついつい根も葉も無いことを        /  /、:::::...           /ヽ_ \申し上げたお。      __( ⌒ー-ィ⌒ヽ、   /⌒`ー'⌒  )        ━━━`ー──ゝィソノー‐ヾy_ノー─"   117 :1-68:2008/08/11(月) 23:50:11.57 ID:Jx2dUH4w0 . 0ニニニニニニニニニニニニニニニ)      そんな浅墓な事実などみじんも無いんだお。 .   L| |_____|____| |  醜いことを口走ったお。     l | |.__/,,/  ̄ ̄ \ ,: だけれどもやる夫は口惜しいんだお。  ,  l \ヽ/,//::       \ 何のわけだか分からないんだお。  :, ____l_| |/⌒":::..        |⌒ヽ ;胸を焼き焦げていくのが分かるお。   |\゙;三/  /、:::::...       /ヽ \ ;'   ああ、ジェラシイというのはなんて   |\\( ⌒-ィ⌒ヽ、   /⌒` '⌒  ),;'  ;' なんてやりきれない悪徳だお。   |、 \\`ー-ゝィソノー‐ヾy_ノー" ;       0ト、\\\;'三三;'三三三;''三三,;'\     \\\| 炎炎炎炎炎炎炎炎炎 |            \\| 二I二二I二二I二二I二 |        \LI二二I二二I二二I二二」         0」            0」 120 :1-69:2008/08/12(火) 00:09:55.08 ID:Unq0zuef0                       ____  こんなに慕ってきたのに・・・                     ./     \ 命を捨てるほど思ったのに・・                   /  ⌒ 三 ⌒ \ 今日まで付き随ったのに・・・                .  /   ( ○)三( ○)\  やる夫には優しい言葉                  |      (__人__)  . | すら                   \.______`_ー'´_/                       r^::::::::::::::::::::::\/::::::::\            .     __i::::::\:::::::::::::::::::|| ::: i:::::::i 122 :1:2008/08/12(火) 00:17:41.64 ID:Unq0zuef0              ,. -─────────‐- .、  かけてくれないお。             // ̄ ̄\      / ̄ ̄\\ それどころかあんな女に。           /                     \          /        ::::::::::::::::::::::::::::::::       \        /   / / ̄\\::::;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::// ̄\\  \       /    |  |. ◎ .| | ::::;;;;;;;;;;;;;::::| |. ◎ .| |    \     /      \ \_// :::::::::::::::::: \\_//      \    /     ../ ̄ ̄\ /   ::|::   \ / ̄ ̄\..     \   /         :::::      |      |      |       :::::      ヽ.  |               |      |      |              |.  |               \__/\__/               |  |                |       |               |  |                |r─‐┬──、|                |  ヽ                |/   |    |              /    \              \      /             /     \               ̄ ̄ ̄ ̄             / 124 :1-70:2008/08/12(火) 00:23:10.28 ID:Unq0zuef0           ____    だらしがないお。もうあの人には見込みが無いお。         /⌒  ⌒\  死んだって惜しくないお。       / (○)  (○)\ そう思ったとき、      /:::::: ⌒(__人__)⌒::::ヽ ふいと恐ろしいことを考えてしまったお。      |      |r┬-|    | そのとき以来、あの人を、いっそやる夫の手で      \      `ー'´   /  殺してあげようと思ったお。      /             \ 126 :1-71:2008/08/12(火) 00:31:09.78 ID:Unq0zuef0        ___        /     \  いずれは殺されるんだお。            /   \ , , /\  あの人だって、無理に自分を殺させるように仕向けて     /    (○)  (○) \  いる様子がちらちら見えるお。      |       (__人__)   |            \      ` ⌒ ´  ,/    .      /⌒〜" ̄, ̄ ̄〆⌒,ニつ        |  ,___゙___、rヾイソ⊃         |            `l ̄ .      |          | 127 :1-72:2008/08/12(火) 00:32:24.78 ID:Unq0zuef0          ____    他人には殺させたくないお。         /     \  それからやる夫も死んでやるお。        /  _ノ  ヽ、_  \      /  o゚⌒   ⌒゚o ヽ         |    (__人__)    | .      \   `⌒´   _,/ 128 :1-73:2008/08/12(火) 00:37:02.93 ID:Unq0zuef0               ____             /     \    旦那さま、泣いたりしてごめんだお。            /  _ノ   ヽ、\ もう泣かないお。          /   (○)  (O)  \   はい。はい。落ち着いて申し上げ          |       ||  (__人__)  ..| るお。          \    ノi   !  |.  /            /    し'   `⌒´ .ノ              |       ./ ./ 132 :1-74:2008/08/12(火) 00:42:42.47 ID:Unq0zuef0          / ̄ ̄\  そして、そのあくる朝、やる夫たちは愈愈、         /      \ 約束された場所に向かい、出発したんだお。        /::::::::::::::     ヽ            |::::::::::::::       |         ヽ::::::::::    /             /::::::::::::   く                 |::::::::::::::::   \   やる夫は信仰を売るそうです(前編)          |:::::::::::::::  |          終了  



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